飽和

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飽和

たぶん時間は夜だろう。 僕は誰だかわからない女性の姿をして、見たような、見ないような人たち数人とこたつを囲んでいた。 噂話は嫌いだ。どこかの家庭が崩壊して、その子供が放り出され、山をさまよってるらしい、とか。 そんな話をする前にその子を探して保護すべきでは?しかし、こうしてこたつにくるまって話を聞いてる自分だって、変わらない。 そんな風に思っていると、その子供が玄関を開けて入ってきた。 男の子だったろうか、女の子だったろうか、中学生くらいだったろうか。 僕は急ぎ立ち駆け寄り、「飯を食ってないだろう」と飯を与える。 他の人たちは知らんぷり。 僕は構わずあれこれ世話を焼く。 すると、その部屋から2人だけ隣の部屋に居る場面に切り替わり、その子が訳知りに、「あっちの部屋はダメだ。もう、あの人たちは助からないだろう。残念だけど」と言い、襖を押さえるように僕に指示を出す。 膨らみ、今にも何かが溢れ出そうな部屋。 何か液体が満たしている感じだった。 一生懸命抑えていると、じき収まった。 襖を開けて隣の部屋を見ると、先程までの液体?と同じ様に、なんらかの意思を持ったようなちいさな粒が床を埋めつくし、蠢いていた。 その子供は、吸い込まなきゃ、と言ったので掃除機を探す僕。 さあ、吸い込むぞと、その子を見ると、やはり知らない若い大人の女性になって、その粒を口から吸い込んでいた。 何故か吐き気がした。
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