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「なるかな」 「なるなる。おばあちゃんもにっこり」 「それならいっか」 そうやって猫好きたちのスマホのアルバムは同じような画像で埋まっていくのである。 なにが違うのか、どう違うのかっていう画像がほとんどだ。 わかっている。もちろん、わかってはいる。 けれど、同じ画像が何十枚とあっても、厳密には一枚一枚ちがうのだ。一枚ごとに別の魅力が写っていて、その時だけの奇跡の一枚なのである。似たような写真だからどれか消すとか、それが出来たらとっくにしている。そもそも消せないから残っているし、残っているから埋まっていく。ならばいっそ埋まればいい。 たとえ旅先で画像フォルダがいっぱいになって、過去の画像を消さなくてはいけない事態に陥ったとしても、自分は猫の画像は一枚も消さない。旅行の記憶は脳裏に直接焼き付ける。 すまんな。うちのかわいい猫がきみたちのアルバムを埋めてしまって。あとおばあちゃんのアルバムも。かわいい猫の画像なんていくらあってもいいですからね。幸あれ。 十字路のほうから歌声が聞こえてくる。よく通る男性の声だ。 声の主は背の高い青年だった。髪も身なりもばっちり整っていて、出会いがしらに俺と目が合うと、にこやかに笑いかけてきた。一撃で好印象を抱いてしまうほど爽やかな青年だった。 彼は朗らかな、大きな声で言った。 「にゃん玉きらきら金曜日!」 にゃん玉きらきら金曜日ニキだ。 溌剌とした声と笑顔。そこには身体の内から溢れ出すような輝きがあった。
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