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「男の子を殺したね?」
映子はテウスと手をつないで自宅へ帰るところだ。
「うん、あんなうるさい音、行儀悪い」
「だから殺した?」
「うん」
「そうか」
そのまま黙って夕暮れの街を歩いた。
遠くでサイレンが聞こえる、救急車がアナウンスしてくる。
横断歩道が青になり、電子音が鳴る。
通りがかりの人たちの会話、おかしな仕草をする女、手をつなぐ男女。
ビル街から同時進行で大勢の人々が歩いていく。
この当たり前の日常において。
映子が「いやだ」と、思った相手の命は消えた。
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