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「ここは、どこ?」
僕たちは見知らぬ部屋にいる。
古びたアパートという感じで八畳くらいの畳の一室だ。
「僕が普段、住んでいる部屋だよ。
人間界でも魔界でもない空間にある。誰にも知られていない」
映子がまだ抱き着いたままだ。
「しばらくはここに身を隠そう、映子、離れて。もう大丈夫だから」
僕に抱き着いたままの映子がようやく離れた。
「映子、ここから別世界に行かないか?
テウスの嫁にならず、別の平行世界で暮らすんだ」
「そんな、そんなこと......」
「そうすれば誰も追ってこない、自由に生きれる。
好きに生活できる。そして別世界では人を殺す力は無くなる」
「28歳を過ぎれば?」
「......不老不死にはなれない、けれど行く世界によっては、
老いを遅らせることもできる」
「行くわ、別世界へ」
「わかった、行けそうなところを選んでみる」
僕は、部屋にあるセンターテーブルに置かれたパソコンの前に座った。
「ここから世界を選べる。言語が同じ世界は、いくつもあるんだ」
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