捕らわれの女

34/81
前へ
/273ページ
次へ
残していた牢屋に、再び映子のマンションの空間を入れた。 僕が差し入れを持っていく日々も、再び始まった。 「いつもありがとう」 映子に笑顔も戻ってきた。 タオは、映子の事件を解決したと自慢している。 やはり手柄が欲しかったのだ。 「テウスが会いにきてくれない」 「それは、仕方ないよ、君を嫁にできないから」 「どうして?私を嫌いになったの?」 言うべきかどうかを迷う。 「そんな顔しないで」 映子が手を握ってきた。 「言えないなら、聞かない」 「ありがとう」 僕は手を振りほどいて去った。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加