捕らわれの女

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『白子ちゃん、毎日、毎日、泣いてた。 親が泣かせてた。泣かせるのは悪いこと。殺して当然。 白子ちゃん、やっと笑顔になれた、殺せたから。 駆け落ち、一緒に行きたかった』 「ごめん。いや、ごめんで済まないね」 『あたし、生まれ変わったら、白子ちゃんみたいにならない。 完璧にやる。うまく生きていく。そんな人間がいいな』 「なれるよ」 男性の悲鳴が響いた。 僕はふすまを開けて移動した。
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