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結局のところ、映子と僕は前世からつながりを持っていたのだ。
映子の旅ではなく、自分の旅だった気がする。
僕は牢獄へ行った。
「夢をみた。黒猫になってた。白い肌に黒い髪の女性と一緒にいた。
彼女は毎日、泣いてた。けれどね、笑ったのよ。
血まみれの包丁を手にして笑ってた」
どこかで精神がつながったらしい。
「彼女は親を殺すことで笑えたのよ。私みたいよね」
「そうだね」
映子の業は深い、黒猫の前からだが、黒猫のときが深い。
それがわかったから、どうということはないが、僕自身にとって
決意を固める機会にはなったと思う。
映子には死の匂いがつきまとう。
殺人で達成できたものを見てしまったせいだ。
これからも映子は映子だろう。
テウスの嫁に、絶対になりたい映子だろう。
その28歳までに、あとどれくらいの人間が死ぬのだろうか。
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