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テウスの屋敷へ行くと、映子が恨みつらみを口に吐いていた。
テウスは椅子に姿勢よく座り、赤ワインを飲んでいる。
センターテーブルにはチーズを置いて。
「よくもこんな目に、こんなことの為に努力していたんじゃない」
「こんなことの為だよ」
テウスには、どんな暴言も心に届かなかった。
半年が過ぎた。
映子は歌い続けるようになった。
涙を流しながら、人間界で流行ったラブソングを歌い続けた。
テウスは聴き入った。
「歌声も美しいとは完璧だ」
映子は喋ることなく歌い続けるだけの人形になった。
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