捕らわれの女

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鳥のさえずりで目を覚ました。 まな板の上で包丁がリズミカルな音を立てている。 裸の自分に急に恥ずかしくなって。 急いで服を着る。 リビングとキッチンがつながっている。 映子がキッチンで朝食を作っていた。 ラフな服にスカート姿。 この身体を昨夜は抱いたのかと、胸が熱くなった。 「おはよう」 背を向けたままで映子が言った。 「お、おはよう」 もういままでとは違う僕たちだった。 「油揚げ、好きだったよね、ちょうどあった」 「あ、味噌汁?ありがとう」 「うん、厚焼き玉子も」 「うれしいな」 そうして二人で朝食を取った。
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