捕らわれの女

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僕は魔界を再び復興させた。 誰もが無言で、礼を言う者はいなかった。 魔物たちは感知していた。 僕と映子とのことを。 それを邪魔しようとする者もいなかった。 街外れのテウスの屋敷を復興させた。 怪我が感知してからも、テウスは寝るか赤ワインを飲むかしていた。 「嫁を奪った男を殴ってみたらどうだ?」 テウスは庭の芝生の上に寝たまま反応しなかった。 僕は、その場を去った。 人間界の復興に関しては、彗星のほうが活躍していた。 映子に殺された霊たちをなだめて成仏させていった。 僕は僕で、他国の戦争の縮小を目指してみたりした。 しかし、混沌とした世界は、容易くは直らなかった。
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