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映子のお腹の中で、子の成長は早かった。
このまま人間界の病院で診てもらっては、異変に気付かれてしまう。
僕たちは魔界へ移動して産むことにした。
有名な産婆の女性がいたのだ。
「この調子だと、数日後には産まれるわね」
黒髪パーマの産婆さんが言った。
「そんなに早く?」
「神と不老不死との子なんて、あたしも初めてだわ。
何が起こるかわからない。気をつけましょうね」
なんだか緊張してきた。
産婆さん宅に映子を残して、僕は喫茶店に寝泊まりした。
「辰巳さん、風子さん、ヨト、マウ、僕は、とんでもないことになったよ」
誰に何を言えばいいのかわからない。
だけど芽生えた命を大切にしたい。
そう思っていた、そのとき。
スマホが鳴った。
映子からだった。
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