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ゆっくりと映子が立ち上がった。
「話し合いましょうって言ったのに。産婆さんまで」
建物が崩れ始めた。
「映子、お腹が、やめろ!」
「日並くん、魔界を作ったことが間違っていたのよ」
「映子......」
「魔界を、失くす、魔物を、失くす」
映子は両腕を振り上げた。
戦士としての力で魔界を火の海にした。
逃げ惑う者たちを目で追い、トドメをさした。
建物が朽ちて塵になるまで、魔物たちが灰になるまで。
映子は魔界を歩き回った。
以前のような崩壊ではない、すべてを消した。
魔界そのものが、何もない荒野になるまで。
何日も何日も、映子は破壊し続けた。
十日後。
魔界は何もない荒野になった。
テウスだけが生き残った。
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