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「映子!」
白いセーターを赤くにじませたまま、映子は魔物を殺し続けていた。
「もうほとんど、殺したわ」
「もうよせ!」
僕は映子を抱きしめた。
「赤ちゃん、女の子だったって......」
急激に悲しみが押し寄せてきて、僕は泣いた。
結局、人間界で暮らしている魔物50人以下だけが生き残った。
『さすがに混沌が過ぎるだろ』
ゼーノの声がした。
映子と二人で白い空間に移動させられた。
白髪がなびき、赤い目が燃えている。
「赤塔映子、日並刀麻、おまえたちを幽閉する」
瞬時にして白い牢獄に閉じ込められた。
「悲しき夫婦よ、気の毒ではあったが、殺し過ぎた。
刀麻、おまえはせめてそばにいてやれ。せめてもの情けだ」
ゼーノが和装の袖を振った。
牢獄の中が映子の住まいと同じになった。
「こうすれば生活に困らぬのだろう?仲良くしなさい」
「また幽閉、こればっかり」
「暴れるからだ。いつもそうだ」
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