繰り返す女

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繰り返す女

二度目の妊娠から出産まで、今回は容易かった。 短期間で映子のお腹の中で成長した子は、痛みをほとんど与えずに 映子の中から出てきた。 真っ白い肌の、女の子の赤ちゃんだった。 「名前は麻子(まこ)に、したい。刀麻の麻で」 映子が赤子を抱いて言った。 「映子の名前にちなんだものにしないの?」 「それは縁起が悪いわ」 映子の乳を飲み、麻子は成長していった。 数ヶ月で幼稚園児くらいの姿になった。 食べ物も普通食で、言葉も知識もどんどん呑み込んでいった。 「お父さんのこと、しってる。お母さんのこと、しってる」 艶のある黒髪ロングに、アーモンド型の大きな瞳で見つめてくる。 麻子、それはどういうこと? 僕が神で仲間を裏切って映子を愛したこと? 映子が人と魔物を殺し続けてきたこと? 「お母さん、やり残したことあるよね」 「え?麻子、なに?」 「魔物、殺しにくるよ」
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