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僕は殺された魔物たちの住まいを訪ねて回った。
結婚していた者がほとんどだった。
家族たちに死を告げていった。
泣き崩れる妻、僕を殴ってきた息子、まだ小さな孫、義理の両親。
それらと対話し続けた。
償えるものは何も無かった。
それでもやっていくべきだった。
生活は大丈夫だからと言ってくれた人もいた。
包丁で刺されかけたりもした。
僕は、ひたすらに娘のやってきたことと対峙していった。
すべての家を回る頃には、麻子は少し成長していた。
魔界は無くなった、映子の怒りによって。
魔物はいなくなった、麻子の後始末によって。
すべては僕のせいだ。
僕が映子と出会ったから、愛してしまったから、愛し合ってしまったから。
「破壊者は映子じゃない、僕だ」
住んでいるマンションの屋上に座り込み、つぶやいた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい......」
僕は存在するべき者ではない。
屋上から飛び降りた。
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