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麻子を自宅に封印した。
もう誰も殺させないように。
テウスに売られたときの映子のような生活になった。
欲しがるものは与えて、遊園地や動物園には連れていった。
魔物を殺して以来、人間を殺すということは無かった。
それでも僕は麻子を幽閉した。
それが親の責任だと思えたのだ。
映子はずっと麻子のそばにいた。
食事を作り、本を読んであげて、一緒にゲームをした。
だけど楽しそうじゃなかった。
魔物が死んで以来、映子は笑わない。
「悪夢を見るのよ。抱きしめて寝て」
言われるがままに抱いて寝た。
「幸せなのは、日並くんより先に起きて朝食をつくるとき」
「どうして?」
「日並くんの寝顔かわいいから、みれるのが幸せ」
「初めてのラブホテルのとき、ラインでも、そうだったね」
「あの頃から、日並くんの寝顔が好き」
あの頃。
あの頃から、やり直したい。
映子を愛さず、好きだからと躊躇せず、殺していれば......。
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