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新宿駅は相変わらず苦手だ。
人が多くて、ザワザワという音になって、ぶつかりかける。
僕は頭上を見ながら14番線のホームを探していた。
そのとき。
大きなトイレの壁で、綺麗な女性と中年男性が向き合っているのを
見かけた。
え......?
ショートの髪、切れ長の目、真っ赤な口紅、細い腰と足。
「うそ、だろ......」
女性は人差し指で男性の額を突いた。
壁にもたれていた男性がずり落ちて倒れ込んだ。
「映子!」
女性が振り返った。
そして近づいてきた。
「どうして私の名前を知ってるの?しかも呼び捨てって、なに?」
「赤塔映子......?」
「田沼栄子(たぬま えいこ)よ。誰と間違えてるの?」
「人を殺せる力......」
「それまで知ってるって、なに?」
「魔物は人と関わってはいけないと規律が」
「色々と話したい、ついてきて、ホテルに行きましょうよ」
僕は着いていった。
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