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「こんにちは。幽霊さん」
「え?」
ラブホテルの回転ベッドの上に座っている僕に、彗星舞人が
声をかけてきた。
「ここで身元不明の男性が心臓麻痺で亡くなりました。
それ以来、男性の幽霊が出るから除霊してほしいと、
そう呼ばれて来ました」
「彗星......僕は幽霊になったんだね」
「なぜ俺の名前を?」
「話しを聞いてくれないかな」
「いいですよ、それが俺の仕事です」
僕は話した。
これまでの出来事を。
僕の犯した罪の数々を。
映子と栄子の存在の危機を。
「そうですか、俺たちは存在しない筈の未来にいるんですね」
「彗星、栄子をどうにかできないかな、いや、ダメだ。
彗星を巻き込むわけにはいかない」
「もう巻き込まれてますよ。協力します」
「ありがとう、しかし、何を頼めばいいのやら」
「とにかくホテルから出ましょう。
あなたは地縛霊になっている。解き放ちます」
彗星が小声でつぶやき、両指を絡めた。
「解!!」
と、彗星が叫んだ。
身体が軽くなってベッドから離れられた。
「ありがとう、彗星」
「はい、お気をつけて」
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