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これで何もかもがうまくいく筈だった。
しかしゼーノは「混沌とした世界」を望んだ。
別世界の破壊の神であるターロをけしかけた。
以前の世界と同じ展開で、戦士となって映子は蘇った。
ターロが魔界にやってきて映子に金色の玉を飲ませたのだ。
身動きが取れるようになった栄子は、テウスを一撃で殺した。
「最も憎い相手が死んでる」
栄子が僕を見てきた。
「結局は前世から、魔界なんてものがあったから。
魔界も魔物も消滅させる。
日並、私ね、前世で最も記憶しているのは、娘の麻子のことなの。
我が子を殺人者にしたことだけは、悔やんでも悔やみきれない......」
屋敷が崩壊していく。
その中で悠然と立っている栄子を美しいとは思えなかった。
あぁ、僕が愛しているのは、この女じゃない。
映子なんだ。
それだけを、ただぼんやりと思っていた。
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