星の数ほど死んでいく

繰り返す女

人間界の時代が大正になった。
この時代に大きな地震がくる。
こればかりは僕も止めることはできない。

そこでふと思い出した。

映子は震災で若くして死んでしまうのだ。

そこから黒猫に生まれ変わり、斬殺事件で死んでしまう。
そのときに願った女性像が赤塔映子だった。

この連鎖を止められないだろうか？

大正で映子が生き延びて、大人の女性になって好きな相手でもできて
結ばれたなら、来世での性質も変わるのではないだろうか。

僕はパソコンにデータ入力して、映子の場所を突き止めた。
境英子(さかい えいこ)という女性になっていた。

震災が起きた当日、僕は英子の救出に向かった。
小さな居酒屋で店が崩壊していた。
逃げまどう人たち、火災を消そうとする人たち、怪我人を運ぶ人たち。
その中で女性の声を聞いた。

「助けて！出られない！」

家の瓦礫の下で、切れ長の目のショートの髪の女性をみつけた。