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僕は通常の人間なら持ち上げられない材木を、持ち上げた。
そして英子を抱き抱えて外にでた。
間一髪で家は完全に崩壊して火に包まれた。
「ありがとう、ありがとうございます!」
英子の家族にも礼を言われた。
「これからどうするつもりですか?」
父親にたずねてみる。
「親戚の家を頼るつもりです。農業を手伝いながら、
た店を持てるまで、頑張ってみます」
「どうか、ご無事で」
そう言って僕は去ったが、その後の英子の行方を追った。
英子の家族は遠縁の親戚の家の世話を受け、空き家を提供されて
農作業を手伝うことで、どうにかなった。
英子は19歳で、懸命に働いて家事もこなしていた。
汗を流している英子を見るのは新鮮な気持ちだった。
そして相変わらずの美貌で、男たちを虜にしていった。
若い男たちはもちろん、家庭を持つ者まで惚れていった。
しかし気高い精神の英子は誰にもなびかなかった。
そこへ縁談が持ち上がった。
村で一番の長者の息子からだ。
英子は縁談を受けて嫁いだ。
家族にも親戚にも支援が受けられて、皆が幸せになった。
英子も幸せそうだった。
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