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新宿駅は、やはり苦手だ。
ザワザワとする。
だけど僕には予感があった。
大きいトイレの壁にいる、美しい女性と中年男性。
ショートカットの髪、細い身体、真っ赤な口紅。
「チカン野郎は許さない、駅員のところへ連れて行く!」
その女性は男の腕を引っ張って歩き出した。
僕は声がかけられなかった。
赤塔映子。
もうデータは調べてある。
今度は人を殺す能力を持っていない。
テウスのいない、ターロのいない世界で、もう映子に関与できる者は
一人もいないのだ。
さあ、次はどう生きる?
どんな生き方をする?
僕は見届けてやる。
君から離れない。
気高い君が、この世界で結婚して子供を産んで幸せになれるのか。
僕には対峙する運命にあるのだ。
――完――
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