映子という女

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「混沌がないとつまらんな」 真っ白な空間でゼーノが言った。 「ゼーノ様、元の赤塔映子が恋しいですか?」 ゼーノが白髪を揺らして笑った。 「ずいぶんとまた懐かしい人物だな、いまとなっては」 「あの赤塔映子の父親は、あなたではないのですか?」 ゼーノの笑いが止まった。 「娘の麻子が赤い瞳になったことがあります。 映子に、あなたの血が流れていたからじゃないですか?」 「よくぞ、見抜いた」 「娘を、もてあそんで、魔物のコレクションにさせたなんて......!」 「映子は、俺が流した一滴の血だ。混沌を楽しむ為の」 「今度の映子には、どうするつもりです?」 「今度?もう今度は無いぞ」
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