映子という女

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「刀麻、長々と努力し続けたな、しかし報われないのだよ」 ゼーノが和装の白い両袖を広げた。 激しい風が吹き始めた。 「俺が王だ、絶対だ、赤塔映子を返してもらうぞ。 しかし刀麻、おまえがここまでやるとはなあ、 テウスを、ターロを殺してまで、平和な世界にするとは。 見事ではあった。だが、おまえの負けだ」 僕は風に吹き飛ばされていく。 「刀麻、ひとつだけは、やり直させてやる」 というゼーノの声を聞きながら、意識が途切れた。
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