映子という女

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麻子の成長がゆるやかになったので、偽造した戸籍で小学校に行かせた。 小学一年生として。 勉強もスポーツも活発で元気な子になった。 映子が長い黒髪を編み込んであげて、それを跳ねさせている。 僕は破壊の神のターロと対面した。 「僕たちのことは、放っておいて欲しい」 火の海を階下に眺めながら、ターロは屋敷で不敵に笑った。 「おまえに殺された世界の記憶があるぞ」 「また戦うか?」 「いや、やめておこう、戦いなら事足りている」 ターロが鉄の鎧を鳴らしながら歩いていく。 このガラス張りの塔から戦争を眺めるのが趣味なのだ。 「本当に?映子にも麻子にも手を出さない?」 「しつこいヤツだな、もういいと言っているだろう」 「ありがとう、ありがとう!」 僕は土下座をした。
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