3人が本棚に入れています
本棚に追加
平穏な時間は、思わぬ方向から悪化した。
テウスが麻子を誘拐したのだ。
魔界が朽ちたとき、映子が殺さなかったテウスは、人間界に潜んでいた。
そのテウスが下校途中の麻子を連れ去ったのだ。
僕は感知能力で居場所を突き止めた。
都内の高級マンションの12階だった。
そこへ移動したら......。
テウスがリビングで血を流して倒れていた。
「麻子、麻子がやったのか?」
「そうよ、勝手に連れてくるなんて最低、嫌がったのに」
テウスはかろうじて生きていた。
「やれやれ、元気な娘さんだね......」
「テウス、麻子を捕らえて、育てて、
映子の代わりのコレクションにするつもりだったのか?」
「そうだよ、この場所を封印して、探せないようにして、
大人になるまで育てるつもりだった」
「お父さん、帰ろう」
麻子が手を握ってきた。
「あいつ、話しても無駄だった。殺す?」
「殺しちゃダメだ。天人くんに嫌われるよ」
「なら、しない」
僕たちは自宅に移動した。
麻子は天人くんが、お気に入りらしい。
最初のコメントを投稿しよう!