映子という女

23/74
前へ
/273ページ
次へ
空から人間が舞い降りてきた。 白い髪に赤い目をして白いマントに身を包んだ男性だった。 「ゼーノ、俺は君の父であり、この世を統べる王だ」 「父さん......?」 「俺は子供が欲しくて人間を妻にした。そして望む力を与えた。 最初は平穏に暮らしていたが、盗賊へと暴走してしまった。 それを止める為に奮闘していたが、止めきれなかった。 せめて、おまえには平穏に生きて欲しいと、海へと逃がしたのに」 「父さん、俺、これからどうしたらいいの?」 「俺の力を受け継ぎ、神になりなさい。 そして母さんが壊した世界を元に戻しなさい」 「父さんは、どうするの?」 「俺は、もう混沌に疲れた。どこかでゆっくり眠りたい」 男がゼーノの額に手をかざした。 赤い光にゼーノが包まれた。 ゼーノは恍惚とした表情を浮かべた。 それから目を閉じ、目を開いた。 そして赤い光の中で姿が青年へと変化した。 「父さん、俺は、やるよ、この世を統べる王に!」 赤い光が燃え上がった。 強い風が吹き、僕は飛ばされて意識を失った。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加