映子という女

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「お父さーん、遅いよー、寂しかったよーっ」 麻子がロングの髪を乱して泣いていた。 「ごめん、麻子、お腹すいただろ、なに食べたい?」 「オムライス」 「じゃあ、外に食べに行こう」 「お母さんの作るの食べたい」 「外に行こう」 「ケチャップに絵を描くの」 「外でね」 「こんな髪で外にでられない」 「髪をとかしてあげるよ」 「三つ編みにして」 「お父さんできないんだ」 「三つ編み、オムライス」 僕は泣き出した麻子を抱きしめた。 抱きしめながら、今後の決意を固めた。
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