人を殺せる女

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「私をなんだと思ってるのかしら。好きでこうなったわけじゃない」 心からそう言ってるのだと伝わってきた。 「だけど、人を殺して無事なわけがない」 「殺したくなるんだから、しょうがない」 辰巳がテーブルを叩いて立ち上がった。 「あきらかにおまえが悪い!」 映子は立ち上がり、店を出た。 「ヨト、あとは頼む」 頼むとは、店のジュース代の支払いについてだ。 映子は通路を歩き曲がった。 ブェードウエイの中は長い廊下の左右に店がある四階建てだ。 どこを曲がってどこを歩けば階段かエレベーターか、トイレなのかと 迷路のように迷いやすい。 ここで映子の姿を見失えばおしまいなのだ。 あちこちの出口から外にも出れるし、地下にも出口がある。
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