映子という女

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うつむいて話していた天人が顔を上げた。 「でもね、魂を眠らせていたあいだに力を蓄えることができた。 俺はゼーノよりも強い。この世界を、世界中を修復していく」 「天人、そんな小さな身体で......」 彗星が父親として心配している。 「父さん、学校にはちゃんと行くよ、安心して。 小学生をする合間にやっていく。それだけの力がある」 「そういうことじゃないんだけど、まあ、そう言うなら。 頼むから命だけは大事にしてくれよ」 「うん、わかってる」 こうして命運は意外にも彗星の息子へと託された。 死んだ辰巳が呼び寄せた霊媒師の子に、最強の王の魂が宿った。 これは辰巳の執念が通じたのかもしれない。 そうすると映子は?映子は、どんな風に終息されるのだろうか。 僕は無事を祈りたかった。 麻子の為にも。
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