映子という女

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身体がふらついた。 輪郭がぼやけていくのがわかる。 僕は、消えていくんだ。 さようなら、映子、愛してる。 これが僕の愛の証だ。 もう君は殺人者にならないんだよ。 そもそも世界を作った僕の責任だったんだ。 魔界も人間界も無ければ、悲劇は生まれない。 テウスがコレクションしない。 そもそもゼーノが世界を作らないなら、破壊の神のターロも生まれない。 これでいいんだ。 これで。 ゼーノがいなければ映子も生まれない。 イースの世界からのやり直しだから。 今度はゼーノに戻されることもないだろう。 今度こそ、うまくいく筈だ。 映子の魂はどうなるのだろう。 わからない、わからないけれど。 あぁ、もう何も考えられない......。
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