映子という女

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白い男、イースは、妻のマリアと共に街に移り住んできた。 そして街の人々となじんでいった。 妻のマリアは静かに微笑む穏やかな性質の女性だった。 やかで男の子が産んでゼーノと名付けられた。 僕は商店の店長になった。 両親が年老いてきて、持病が心配だったりもしたけれど、平穏だった。 更に日々が過ぎゆき、両親が亡くなった。 僕は配達を店員に任せてレジに立った。 そうして僕も年老いていく。 エーコには孫ができていた。 「トーマ、私、やっと達成できた気がする。 結婚して、子供と一緒にいて、何事もなく暮らす」 病院のベッドで痩せ細ったエーコが言った。 「うん、僕もそう思う。思い残したことがないよ。 ううん、あるとしたら、エーコ、君と恋をすることかな」 「それはいいわね、なら、生まれ変わったら......」 「そうだね、ナイショの約束だよ」 その後、家族に看取られてエーコは亡くなった。
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