映子という女

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和装したゼーノが二人立っていた。 「どちらを望む?」 「平和な世界?」 「混沌の世界?」 「どの映子を望む?」 「殺さない映子?」 「殺す映子?」 「どの生活を望む?」 「麻子の父親になれない?」 「麻子の父親になれる?」 あぁ、そうか。 すべては僕次第なんだ。 イースとリノ、ゼーノ、テウス、ターロ、それらではない。 僕の意思で、すべてが決まるのだ。 映子を愛するかぎり、映子を欲するかぎり。 完全たる殺人者は、この僕なんだ。
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