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「麻子、どうしたの?」
雨が降って、傘を持って学校に迎えに行った映子は、泣いている麻子を
みつけた。
「いじめられた......」
些細なことだった。
「もうすぐ雨が降る」と、勘のいい麻子が晴れた空を見ながら言った。
クラスメイトの男子が「振るわけないじゃん」と、否定した。
けれど雨は降った。
「おまえが雨を降らせたんだ、バケモノ!」と、からかった。
「うちの子はバケモノじゃないわ!」
「じゃあ、母親がバケモノなんだ」
映子は瞬時にして男子の額を人差し指の爪で突いた。
ぐらりと身体を揺らして倒れ込んだ。
麻子が更に泣きだした。
「そうよ、私はバケモノよ、だからなに?
麻子、帰りましょう、大丈夫よ、夕飯は何が食べたい?」
倒れた男子へと、他の生徒たちが駆け寄っていった。
悲鳴を背中に聞きながら、映子は麻子の肩に手を置いて去った。
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