人を殺せる女

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「あと、一歩、少しだったのに......!なぜ殺せなかった!」 魔界の喫茶店で、辰巳に胸ぐらをつかまれた。 「生き様に圧倒された」 本当にそうだったから、仕方ない。 映子は制限された生活の中でストレスを抱えながらも、気持ちだけは 自由奔放なのだ。 その『生の強さ』に、吞み込まれてしまった。 「まあまあ、テウスを出し抜ける方法がわかった。大進歩だ」 ヨトがソファーに座って言った。 「そうだ、そうだな」 辰巳がタバコを吸い始めた。 「次だ、次の手を考えないと」 イラついく辰巳は指が震えていた。 そこで僕のスマホが鳴った。
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