映子という女

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僕は14番線のホームをみつけて電車に乗った。 そして駅を降りて歩き出した。 自宅のアパートへと。 「日並さん、おかえりなさい」 隣室の女性が声をかけてきた。 ちょうど買い物から帰ってきたところだった。 海外から移住者だが、日本語が上手い。 「こんにちは。少し冷えてきましたね、夏も、もう終わりかな」 「そうですね、でも、あたし、冷やし中華が食べたくて。 自分で作ろうと思って、材料を買ってきたんです」 「自分で作れるなんて、すごいですね」 「あの、日並さんも一緒に食べませんか?」 照れながらも言ってきた。 「すみません、もう食べてきたんですよ」 「あ、そうなんですか、残念です」 「ごめんなさい」 そうして僕は自宅のドアを開けて中へ入った。
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