映子という女

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ごめんなさい。 あなたの好意は伝わってきます。 「好きか嫌いかで言うと、好き」 僕は口にしてみる。 「でも、それとこれとは別」 とも、言ってみた。 僕は、好きなのは一人だけなんです。 気高く生きて、気高いままで死んでいった女性。 彼女だけを愛してるんです。 今日、彼女の生まれ変わりと出会いました。 だけど、すぐ別れました。 だって、違うんです。 生まれ変わったら、また一緒に。 そういうのも、もういらないんです。 あのとき、新宿駅で出会って。 あのとき、白い牢獄で殺した。 その映子だけが、僕の映子なんです。 それ以外はもう、いらないんです。
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