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「さっきの男ね、チカンの常習犯だったのよ」
身長170センチの僕より、女性は少し低いくらいだ。
ヒールの高さを合わせても160センチ台だろう。
「だから、殺した?」
満員の電車の中で、手すりに掴まって、女性と顔を合わせないように
している。
「そうよ。こらしめても無駄だもの。やる奴はやめない。
だから一撃にした」
「一撃......」
「呪い殺すときもあるんだけどね、アイツは一秒でも早く消したかった」
「あの、あなたは、どうやって」
「赤塔映子(あかとう えいこ)」
「え?」
「私の名前」
「あ、日並当麻(ひなみ とうま)です」
「日並くん、私は、人差し指で突くだけで人を殺せるのよ」
赤塔が人差し指で僕の額を突いてきた。
「わあっ!」
映子が無邪気に笑った。
「殺意を持って爪の先で突くのよ。だから指紋も残らない」
確かに映子の人差し指は爪が長かった。
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