人を殺せる女

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風子が映子に出会ったのは、大学構内で男たちにからまれていたときだった。 体型について中傷を受けていたのだ。 「夜道とか気を付けなくてもよさそう」 「そうそう襲われるっていうより襲われそうで」 「自分でさ、どうなんだろコレって思わないの?」 等々......。 「どうしろっていうのよ!食べたいものは食べたい、我慢できない、 筋トレしても効果ない、太りやすい体質なのよ、 太りたくて食べてるわけじゃない!あんたたちに何がわかるのよ!」 「体型なんて自由じゃない、何がダメなの?」 低いクールな声がした。 女優かモデルのような美しい女性が、そこにいた。 周囲の空気が一変するほどの存在感だった。 風子は涙目になりながら、一瞬で魅入られた。 「あたしを否定する奴なんて、みんな死んじゃえばいいのに」 「それが、あなたの望み?」 「そうよ!」 「なら、殺してあげる」 映子の美貌のほうに呆然としていた男たちは、映子の人差し指の爪で 額を突かれていった。 「みんな死ぬわよ。突然死じゃなくて不運で次々と」 「そんな、まさか」 映子は微笑んだ。 映子にとっては気まぐれだった。 大学の中をみてたくなって侵入してみた。 ただそれだけのことだった。 そこで風子の為に殺人を犯した。 もちろん風子は信じられなかったが。 そのときの男性陣は全員、一ヶ月以内に死んでいった。 交通事故、恋人と揉めて刺し殺される、階段から落ちて頭部を撃つなど。
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