人を殺せる女

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カラオケルームの廊下を歩き、とあるドアを開けた。 「な、なんだ?」 その部屋に居たのは辰巳とヨトだった。 僕に盗聴器を付けて会話を盗み聞きしていたのだ。 「体型については、人それぞれ。わかってる。 太ってるからって醜いわけじゃない、否定しない。 だけどあたしはね、太ってる自分自身が嫌い。 細さが美だと思ってる。だから映子が好き。 どんな服も着こなせて、綺麗な顔立ちで綺麗な声で、美の女神」 「何を、言ってるんだ?」 「映子はね、みんな殺してくれた。あたしを否定してくる連中を、 みんな殺してくれた。あの人も、あの人も、あの人も」 「そんなの、おまえも殺人犯と同じじゃないか!」 「同じじゃないわ」 風子が赤いショルダーバッグから小型のナイフを取り出した。 そして辰巳に体当たりした。 「殺人犯そのものになるよ」 風子は辰巳の腹にナイフを刺し、瞬時に抜き、首へと突き差した。
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