人を殺せる女

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「日並くん、出るぞ」 ヨトに言われた。 「警察がきたら身元確認やら面倒だろ」 それは確かにそうだった。 「ひ、日並、ヨト、あ、赤塔映子を......」 辰巳の声がした。 「殺すよ」 ヨトが言った瞬間、魔界へと移動していた。 「辰巳さんが......」 「日並くんが有力な情報を聞けないか、そう願って待機していた。 殺意に気づけなかった俺のせいだ」 ヨトが黒目がちな目を伏せた。 「赤塔映子はマズイ、人を殺し過ぎだ。どうにかしなければ」 「確かに、そういう存在なんだと、痛いほどわかりました」 荒れ果てた地に吹く風は、僕たちをなだめることはなかった。
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