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「いいわよ」
渋谷のスクランブル交差点が見下ろせる店で、映子と会った。
「一緒に暮らしたい」という言葉に、映子は容易く了承した。
「漫画のキャラみたいね」
映子が言った。
「日並くん、いつも同じ服を着てる」
「人間じゃないからね」
「そうみたいね。殺人をけしかけた女と暮らしたいなんて。
日並くん、いつでも動揺しないのが人間っぽくない」
「まあ、そうだね。さすがに今回はショックを受けてるけど」
辰巳の本気度は、わずかな時間でも伝わってきた。
命をかけて命を捨てたのだ。
たったひとりの男の子の命の為に、あれだけ動ける男がいた。
なら、映子の殺してきた人間の近しい人間たちは、どうだ?
映子のせいで死んだと知ったら、どうなるのだろう。
幼い女の子の無垢な残酷性のままで人を殺す映子には、殺した数の
何倍もの憎しみがあるのだ。
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