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「風子には会いに行った?」
15階のデザイナーズマンションに映子は独りで住んでいる。
荷物のない僕は、身ひとつで転がり込んだカタチで一緒に暮らすことに
なった。
「行ったわ。自分のやれることはやった、そう言ってた」
「そうか。風子のこと、どう思っていた?」
「たくさん食べれてうらやましい子。
私、ラーメンとか、ほとんど食べれない生活になってるし」
「だから風子を悪く言う相手を殺していった?」
「そういうこと」
映子の生活スタイルは規則正しかった。
テウスの好みのスタイルを保つ為に。
朝は6時に起床して野菜中心の朝食と白湯を飲む。
そのあとスレッチをして着替えて読書をする。
読むのはジャンルが色々だが、ミステリー小説を好んでいる。
昼食を取り、夕方になるとジムへ行く。
いつもののセットをこなしてからスーパーで買い物をする。
すべて自炊だが、外食のときもあるそうだ。
「映子、差し入れだよ」
テウスが黒い影から人の姿になって部屋にくる。
「欲しがってた舞台チケットだよ」
「ありがとう。彼ね、どんなに取りにくい席でも用意してくれるのよ」
「魔力を使って?」
「そうでしょうね」
テウスが僕のほうをみてきた。
「君も欲しければ取ってあげるよ」
「と、どうも」
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