人を殺せる女

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『人と関わるべきではない』という思想を持つゼンダー家。 『人と関わるのが面白い』という思想を持つゴーバン家。 両家を争わせて、双方に付く者たちが暴動を起こした。 魔界は火の海になった。 それに巻き込まれて大勢が死んだが、何人かは生き残った。 ゼンダー派が全滅したのでゴーバン家の勝ちと言えるだろう。 僕はそれから魔界を放置していた。 そのあいだにテウスが赤塔映子を見つけ出したわけだ。 「僕の責任でもあるかな」 いつもの喫茶店で僕はつぶやいた。 「俺たちは神様に遊ばれてんだなあ、まいったよ」 いつものソファーでヨトが言う。 「ちなみに俺っちは、人と関わる派だったよ」 「人と魔物は関わるべきじゃなかったね」 「もう一回、魔物を、やっちまう?」 「しないよ」 神だからと何をしていいわけではない。 僕は僕の立場として、この問題に向き合う必要があった。 それにしてもヨトは、いつでも身軽な感じだ。 彼は彼で掴みどころがない。 そう思っていたときに僕のスマホが鳴った。 彗星からだった。
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