人を殺せる女

49/85
前へ
/273ページ
次へ
「テウスの感知と透視には制限がある。 それなら追いかけ続ければいい。俺はそれをやってみました」 彗星は浮遊霊たちに声をかけまくったそうだ。 赤塔映子の居場所を知らせ続けてほしいと。 だから映子は逃げても逃げても追跡された。 人通りの多い場所を歩き回っても、電車を乗り換えても、降りても。 どこかしらにいる浮遊霊が彗星へと知らせてきた。 彗星は二時間かけて廃墟まで追い込んだのだ。 そして手足と両足を浮遊霊たちに掴まれている。 「やるじゃん、彗星ちゃん、ここまでやれるとは予想外」 ヨトが口笛を吹いた。 「それで殺すんですか?」 「うん、俺がやるよ」 ヨトが赤塔へと近づき、両手で首を掴んだ。 そして力をこめていく。 「うっぐっ......」 映子の苦痛にゆがむ顔を初めて見れた。
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加