人を殺せる女

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ヨトには結婚したいと思えた女性がいた。地味な顔立ちだが、笑うと 可愛い女の子だった。 「笑顔美人だね」と、ヨトは褒めていた。 しかし某月某日、某所、魔物が包丁を振り回して通行人に襲い掛かった。 人間の女にフラれてヤケになっての行動だった。 志望者18名、重軽症者9名。 彼女は死亡者の中に名前があった。 魔物は偽造した人間の戸籍のままで刑を受けたが、見た目少年だったので 未成年扱いされた。 15歳、中学生の犯行となり、死刑にはならなかった。 少年鑑別所に入れられ、出所した。 それから戸籍を再び偽造して別の名前と住所になり、結婚して子供が できて、平穏に暮らしている。 ヨトは人の世の不条理に嘆いた。 しばらくは人間界でボランティア活動をして、気を紛らわせた。 自身は人を助ける側の魔物でいたいと。 そんな日々の中で、テウスが人間に『殺せる力』を与えたと知った。 ヨトは調べ上げた。 映子が誰を、どういう風に、どこで殺してきたのかを。 そうして水筒を鳴らして殺された子供の身内、辰巳に出会った。
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