3人が本棚に入れています
本棚に追加
ヨトには結婚したいと思えた女性がいた。地味な顔立ちだが、笑うと
可愛い女の子だった。
「笑顔美人だね」と、ヨトは褒めていた。
しかし某月某日、某所、魔物が包丁を振り回して通行人に襲い掛かった。
人間の女にフラれてヤケになっての行動だった。
志望者18名、重軽症者9名。
彼女は死亡者の中に名前があった。
魔物は偽造した人間の戸籍のままで刑を受けたが、見た目少年だったので
未成年扱いされた。
15歳、中学生の犯行となり、死刑にはならなかった。
少年鑑別所に入れられ、出所した。
それから戸籍を再び偽造して別の名前と住所になり、結婚して子供が
できて、平穏に暮らしている。
ヨトは人の世の不条理に嘆いた。
しばらくは人間界でボランティア活動をして、気を紛らわせた。
自身は人を助ける側の魔物でいたいと。
そんな日々の中で、テウスが人間に『殺せる力』を与えたと知った。
ヨトは調べ上げた。
映子が誰を、どういう風に、どこで殺してきたのかを。
そうして水筒を鳴らして殺された子供の身内、辰巳に出会った。
最初のコメントを投稿しよう!