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「俺は魔物同士で結婚していた。
俺の妻は『人と関わるべきではない』派の人間で、
俺は『人と関わるのが面白い』派の人間だった。
思想は違えど愛し合えると思っていた。
だけど妻は、俺を売ったんだ、俺は反対派に放り込まれて
殺されかけた。それを救ってくれたのがテウスなんだ」
「だから?」
「だから、どっちも責任があると思った。
妻を信じた俺が馬鹿だった、どっちもどっちだ。
だから俺は、不誠実な相手に酷い目に遭ったほうも馬鹿だと思う」
「それで殺させるのか。そんな、あんたの勝手すぎだ」
「なにをしようと俺の自由だ」
「映子もあんたも、押し付けてるだけだ」
そこでスマホが鳴った。
ヨトからだった。
『映子を見失った』
と、あった。
「みんなやりすぎなんだよ」
「勝手にさせてくれよ神様」
「ダメだ」
「また戦争でも始めさせるかい?」
「それもダメだ」
僕は立ちあがった。
満月は僕の行くべき道を照らしてはくれなかった。
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