3人が本棚に入れています
本棚に追加
「なるほどね、自分をこんな目に遭わせた母親を殺す為の力か。
映子、君は素晴らしいよ!五才にしてその機転と残酷さ」
「×××のDVD」
「は?」
「映画館で観たかったのに、お母さん連れていってくれなかった。
大きい画面のテレビも欲しい、それでDVDを観たい」
「ご用意いたしますよ、映子様」
そうして映子の軟禁生活が始まった。
母親は心臓発作の急死と診断されて、店の同僚が集まる葬儀が行われた。
映子の戸籍は赤塔映子のままで、男は親戚と偽って引き取ると告げた。
「俺の人間としての名は『席口通(せきぐち とおる)』
本当の名前はテウス」
「テウス、欲しい絵本がある」
「いいよ、他には?」
「パンケーキが食べたい」
「いいとも」
映子は欲望のままにテウスにねだった。
しかしテウスにも要望はあった。
知性と教養を身に付けること、太りすぎないこと。
テウスは痩せているほうが好みだったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!