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「出して、出して、出して!」
映子が牢屋の鉄格子を両手で握って揺らす。
セオは余裕の笑みだった。
「以前の戦争のときにね、暴動者たちを閉じ込めた牢獄だ。
その中でも独房の質の良い部屋を選んだ。感謝してほしいくらいだ」
「テウス、助けて」
テウスが目を反らした。
「セオのほうが階級が高く、能力が強い。適わない」
「まさか、一生、ここで?」
「もう映子は、僕の嫁には無理かもしれないな」
「そんな......28歳で不老不死になれる筈でしょ?しないの?」
テウスが黒い影になって消えた。
「馬鹿みたい私、人助けをしたらこんなザマに」
映子が座り込んだ。
「着替えは?読書は?ジムは?私、太っちゃうの?」
「そうだなあ、退屈だし、不便だよね」
セオがパチンと指を鳴らした。
牢屋が映子の住んでいるマンションそのままになった。
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