捕らわれの女

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ゼーノは世界を統べる者だ。 ありとあらゆる並行世界すべてにおいて。 僕はゼーノに仕える神として世界を二つ作った。 人間界との魔界を。 人間界は、せかせかと人が動く世界に変貌していった。 魔界は、のんびりと魔物が潜む世界に変貌していった。 やがて魔物が能力を使って人間に干渉するようになっていった。 二つの世界は少しずつ混沌とし始めた。 僕は魔界の支配力が強くなる前に戦争をけしかけた。 『人と関わるべきではない』派と『人と関わるのが面白い』派で。 暴動が起きて魔界は火の海となり崩壊し、わずかに生き残った。 人間への干渉が減れば少しはマシになるだろう。 そのくらいしか考えていなかった。 しかしテウスが赤塔映子に力を与えた。 人間側の被害が増えていった。 それを知ってからの僕は......。 神ではなく『日並刀麻』として、映子に魅了されていった。 惑わされていった。 殺せば済むのに殺せないのだ。 僕は、どうしたらいい?
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